《MUMEI》 プロローグ「早く貴女たちだけもいいから逃げて!!」 「そんな!月姫、貴女を見捨てるわけにはいかん!!」 「そうですよ!月姫様!」 「貴方たち、なにを言っているのです!特にユエ、主人の命令を聞くことができないの!?」 「ああ、そうだ。たとえ、貴様の命令でも・・・!」 「そうですか・・。では・・・」 「月姫、貴様何をするつもりだ?」 「こうするのです!真理なす神の、行く行くを願いて我が掌中にその命委ねん!」 「その呪文は・・・!!やめろ!!」 「封印!!」 「うわあああ!!」 (月姫・・・。何故妾(わたし)だけ封印したんだ!!応えてくれ、月姫!!) これは私が幼いころからみる不思議な夢。 何故か満月の夜になると必ず同じ夢を繰り返しみる。 「またこの夢か・・・。何なんだろう。毎回毎回」 「癒羅ちゃーん。ご飯できたわよー。早く起きなさーい」 「はーい!わかったよ、母さん」 「あら、癒羅ちゃんどうしたの?」 「うーん、またあの夢を見たんだ」 「あっ、そうなの・・・」 私の母さんはいつもこの夢の話をすると決まってこのような表情をする。 なんでも私は100年に一度くらいにしか現れないという《月巫女》という存在らしい。 それで、先代の《月巫女》、つまり曾お祖母ちゃんが同じような夢を見たと父さんと母さんが言っていた。 「おっ、癒羅おはよう」 「おはよう、父さん」 「あなた♥おはよう♪」 「おう、ルーチェ今日もきれいだな」 「あなただって今日も素敵よ」 「はいはい、朝からラブラブでいいこと。あっ、そういえば兄さんは?」 「ああ、もう燐ちゃんなら部活の朝練でもう出て行ったわよ」 「ふーん。あっ!もうこんな時間だ!」 「あら、お弁当ちゃんと持った?」 「うん、大丈夫!」 「それじゃ、いってらっしゃーい!」 「いってきまーす!」 私は神楽癒羅。高校一年生。こうみえて霊感があり、陰陽師の末裔である。現在もあちらこちらにこの世の者ではないものがみえている。 「あ!癒羅、遅いよ〜」 「あー、悪い悪い」 「ほんとだよ〜」 こいつは立花ベル。私の幼馴染のひとりで家は花屋。そして、大の不思議なもの好きである。 「ねえ、昨日満月だったじゃん?またあの夢見たの?」 「あー、うん。みたよ」 「そうなの!ねえ、聞かせて聞かせて!」 「あのなー、見てるこっちは飽きてんだよ…」 「えー、でもわたしけっこーあの夢の話好きだよ?」 「たいして、いつもと変わらなかったよ。あっ、でも最近声がはっきり聞こえるようになったな…」 「ふーん。きっと何か家に秘密とかあるんじゃない?妖怪が封印されているとか」 「ああ、そういえば父さんが昔いってたんだけど、家の蔵には近づくなっていってたな」 「え、そうなの!じゃあ、行ってみようよ!」 「いやでも、父さんダメって言ってたし、部活あるし、あそこ嫌な気配するんだよなー」 「そうだよね、部活大変だもんねー」 そんな話をしているうちに私たちは学校についた。 次へ |
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