《MUMEI》

――裕斗の横顔を見る。






元々造りが良いうえに、髭は完璧に剃られ




髪型も…格好いい。





「ね、大学楽しい?」





裕斗は携帯を閉じ、バッグの中に入れた。



「うん、それなりに…」




「そっかあ…」





裕斗は腕を前に突っ張り、うーんと伸びをした。







――裕斗の両親はまだ彼が幼い時、離婚してしまったらしい。






時々父親に会う事も有るらしいが、このての話はあまり裕斗はしたがらない。






だから俺は裕斗の詳しい家庭事情は、分かっていない。





ただ、一人頑張る母親に気を使い大学進学は始めから考えていなかったのは知っている。





高校時代、どうせ勉強好きじゃないからって口癖の様に言ってたけど、
推薦入学が決まっていく同級生を羨ましそうに見ていたのを俺は知っている。






だから俺は大学生活の話は聞かれないかぎり…、



――なるべくしない様にしている。







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