《MUMEI》
愛されない
走った瞬間…

ドクン

っ!!

体に異変を感じた私は、止まった。

雪「風花?」

ドクン

また!!

なにかおかしい…

雪「風花!?」

「なんだなんだ?」

私の異変に、気づいたのかクラスのみんなが集まってきた。

雪「風花!!」

風「なにか…おかしい」

雪「えっ!?」

風「体から風が…」

雪「風花は、風の魔法…目覚めたのは今日…はっ!!暴走!!みんな、廊下に出て!!」

雪は、みんなを避難させ、私を教室の中心に連れて行った。

雪「風花、大丈夫…大丈夫だからね。深呼吸をして」

私は、一生懸命深呼吸をした。

ハァ…ハァ…

雪「大丈夫…」

雪は、私を優しく抱きしめた。

私は、なぜか落ちついた。

風「もう…大丈夫」

私は、倒れそうになりながらも、雪に言った。

雪「風花、単刀直入に言うけど最近ショックだったことってなかった?」

ショックだったこと…

家族に、愛されていないこと…かな。

?「家族に、愛されてないこと」

廊下から、聞き覚えのある声が聞こえた。

雪「愁!入ってきちゃ駄目よ!!まだ暴走する確率はあるんだから!」

愁「分かっている。でも、この場合僕は役にたつと思うのだが」

雪「まぁ、いいわ。で、ショックだったことはなんなの?」

愁「家族に愛されてないことらしい」

雪「家族に…?」

私は、うつむいた。

雪「そうだったんだ…。でも、私達もそうだもんね」

愁「…」

愁は、なにも言わずに席に座った。

廊下に避難したみんなも、愁が座ったのでみんなも入ってきて席に座った。

みんなも、私と同じ…

雪「私達だって、気味が悪いってこの学校に転校させられたんだ」

雪は、悲しい顔で言った。

そうだったんだ…

雪「ま、最初にこの学校に来た…舜が一番悲しいんだと思うけどね」

雪は、窓を見ると人を指差した。

雪「でも、あんまり楽しそうだからみんな悲しくなんかないんだよ」

雪が指差したのは、外でサッカーをしている舜だった。

舜は、キラキラとした笑顔だった。

本当…悲しみなんか吹っ飛んじゃうよ。

舜は、私達に気づいたみたいだった。

舜「おーい!風花達も、一緒にやろーぜ!」

風「おう!」

私がそう言った瞬間、みんながえっ!!って顔をした。

風「みんな、どうしたの?」

雪「あ、ごめん!行こっか」

雪は、なにか隠しているようだ。

愁「風花が、おうって言ってびっくりした」

風「えっ!!」

おうって、言っただけでびっくりする?

雪「愁、あんたね〜」

雪は、カンカンに怒った。

二人は、喧嘩を始めた。

窓の外を見ていると、待ちくたびれている舜がいた。

しょうがない。

窓を開けて、飛び降りた。

みんなは、驚いた。

口が、カパッと開いている。

雪「風花!?」

大丈夫…大丈夫…

なんたって私は、風の魔法使いなんだから!

私は、指輪に触れた。

触れた瞬間、地面へ落ちて行く私が、ふわっと浮いたのだ。

地面で見ている舜が、微笑んだ。

私も、つられて微笑んだ。

ふと、横を見ると雪がいた。

風「雪!!」

雪は、雪で出来たジュウタンに乗って私の後を追ってきている。

そのあとを次々とクラスのみんなが降りてきた。

風「みんな!」

「飛び降りるってのも、いいかもなー!」

男子は、大はしゃぎ。

女子は、キャーキャー叫んでる。

みんな楽しそうで良かった♪

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