《MUMEI》 そう言いながらもマレーナは、苦し気に 息を喘がせている。 「マレーナ?!大丈夫?」 ララも一瞬、日頃の確執を忘れて問いかけるのへ、マレーナは再び微笑んでみせた。 「二人ともここでじっとしていなさい」 ペドロが慌ただしくドアを開けて、斜めに傾いだ部屋を飛び出して行くと、用心棒と会話する声が、ララに聞こえた。 「何があった?」 「ブービートラップが仕掛けてありました」 ドアが閉まり会話が途切れると、不安なララの心がわかったように、マレーナ が「大丈夫よ」と言い抱きしめてきた。 ララはいつもの勢いで義母を突き放す気にも成れず、その暖かみに身をゆだねた。 急に未来から押し寄せる暗雲のイメージが大きく育つのを感じ、全身を慄―おのの―かせながら・・・・。 前へ |次へ |
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