《MUMEI》
Naturalpower??
暴風と金属片による戦いは激しくなるばかり。
やめようと声をかけてもうるさいとばかりにムッとした顔で俺を見てくる。

「これじゃあ体育館にまで被害が出ちまうぞ…;」

暴風により飛び散った金属片で自分にも被害が出ているのだが。


「UNIT内での抗争禁止。これは政府が決めたルールのはずなんだけどね?」


見知らぬ声に、俺は後ろを向く。
二人も動きを止め、声のした方を向く。

「やぁ、02に04に、ん?」

水色の首もとで外にカールしている髪。
白い光をほのかに放つ瞳。左目の瞼のタトゥー。
白衣を着た個性的な人物。

「03王生(いくるみ)アオイ。何しに来た」
「どーせいい子気取りで止めに来たんだろ。あーあ、あきれるぜ」

呆れた顔でそいつを見つめる。

「久しぶりの再会なのに何この反応。まあいい。前報告があったのはこの少年だね」

「こいつは殺させないからな!」

アオイはやれやれというジェスチャーをし、俺の方を見降ろした。

「君が都川 護君だね?やぁはじめまして。私は王生 アオイというものだ。研究者かな。私は君に会いに来たんだよ」

「俺に、会いに…?」

「そうさ。君は…大事な大事な実験動物だからね」

アオイから殺気が発せられ、二人は身構える。

「やだなぁみんな。なんで身構えるのさ?私は君たち同様、UNITの仲間じゃないか。」

「あなたを仲間だと思った覚えはないです」

「珍しく意見が合うようだな相沢さんよ」

再びアオイはやれやれとして俺の方を見る。

「じゃあ、ここじゃなんだから…ネットカフェにでも行こうか」




「で、ここまできて何の用があるんだ、アオイ」

「ん?護君のことだよ」

「…」

「護君は、科学の力で生み出されたわけではない…天然の能力をもった、珍しい人間だ。君自身は気づいていたかは知らないけど、
 自然を操れる可能性をもった、進化した人種。そうだ、護君。何か植物を植えた事はあるよね?」

「ああ…小学生のころに、学校の授業でチューリップを植えたことがあります」

「様子はどうだった?みんなと違うところはあったかい?」

「そういえば…みんなより雑草が多く生えていたり、チューリップが咲いてる時期がみんなより長かったような…印象に残っていたので、覚えてます」

「そう。そういう感じで、君は自然を強化することだってできるし、弱めて枯らすこともできる。もしその能力を100%発揮できるなら、
 地球を壊すことだって、人間を殺すことだって簡単なはずだ。」

「そんな馬鹿な…」

「君には、政府の秘密を知る権利がある。このUNITのことも…ね」

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