《MUMEI》
警視
警察沙汰になるよな
俺は加害者として、連れてからたんだ
でも、完全黙秘した

施設の偉いやつが来たけど、目も合わせてないし
口もきいてない

年輩の少年課の警察官が頭をかきむしってた

いい加減になんか食え!

目の前にカツ丼を置かれてた

名前ぐらい言えるだろ?!

若い刑事が喚いてた

この二日、水すら口にせず、黙秘を続けてたんだ

めんどくさいから、目を綴じてた

ドアが開いた、また、誰か来やがったんだ

恵太

目を開き、声の主を見た

真知子が居たんだ
スーツ姿の中年男と一緒に

この中年男、警視庁の警視だって?

訳あって、俺に偽名を与えてたと、話してた

そして、俺は釈放されたんだ

………… 車で都心に移動してた
そして、和食の店に連れてかれたんだ

有名な店だ、店名ぐらい知ってる

食べなさい

真知子が言ったんだ

どうした?食べないのか?

警視に聞かれた

飯食う気分じゃねーだろ?

恵太、目上に対する言葉遣いに気を付けなさい

尊敬されれば自然と敬語が出るもんだよ

恵太は、警察が憎いかい?

信用ならねーからな
また、刑務所にでも送り込めよ
今よりマシだ

とにかく、食べなさい

断る、今の俺が食する物ではない

何を考えてるの?

真知子、貴女の思惑通にはならないよ
高橋一族は、壊滅させる
それが、俺の意志だ

お父様の意志は、どうするの?

聞こえなかったのか?
俺の意志だと告げた

恵太くん、君の警察に対する不信感は、よくわかる
これだけの組織だ、中には悪人も居るだろう
だが、そうでない人達も、居るんだよ
君の暮らす施設も、そうだよね?

警視がそう話してた

知ってるのか?
内情を

君ほどは知らないさ、悪い噂を耳にする程度だがね

見て見ぬふりか?

まだ、動けないのだよ

そうよ、恵太
物には順序があるの

へっ、順序待ってる間に誰か死んでも、アンタには痛手もねーしな

恵太!、 検察が動いてるわ
不正は暴かれる!
裁判もやり直しになるだろうし、いずれ全てが明るみに出るの!
それまで貴方の所在を隠しときたいの、わかって!

不正を暴き、事が明るみに出れば、父は生き返るのか?
母は?、妹は?!

恵太!

同じだよ、目を潰した、腕の骨を折った
街の暴走族だって、国民なんだろ?
俺を無罪放免したら、同じことさ、なぁ、警察のお偉いさん?

古武術かい、祖父に習ってたんだってね
武器を持った大多数を相手に、大きな怪我もなく
凄いもんだな
恵太、おなじじゃない!
私は牛や豚、鳥も殺して食べて、生きてる
だが、無駄には殺さんよ、生きてく分だけだ
判断する者が間違えば、
力は全て悪となる、殺して食わなきゃ生きてけない生き物なんだよ、人はね

坊主かい?

いや、坊主から聞いた事を身にしてるだけだよ
君は証拠不十分で、不起訴になっただけだ
被害届も、取り下げられたしな
示談が成立してる

大人の話だね、好かないな

恵太、いい加減になさい!

真知子が、怒鳴ってたんだ

…………

…………

だんまりかい?
悪いが好きにさせてもらうぜ
奴等みたく、俺を殺すか?

恵太、聞きなさい!
今事を起こしても、蜥蜴の尻尾切りで終わってしまうのよ!
お父様のむねんを、晴らしたくはないの?!

黙れ、軽々しく父を語るな!
いつから俺に命令できる立場になった?

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