《MUMEI》

「肉君今までありがとうね」


「ハアハア、先輩泣かないでぬ〜ん!ハアハア、綺麗な顔がだいなしぬ〜ん!」


俺は泣きじゃくりながら肉君に抱きつく。



俺よりも頭一個小さい肉君だけど横にめちゃめちゃデカイから本当、マジで抱きごたえがある。






俺はちょっと書きためたノートを肉君に渡して、肉君は俺に、今俺が最高にハマっている新聞の四コママンガのカツアゲ君の絵をプレゼントしてくれた。




「一生大切にするよ〜」

「肉も大切にするぬ〜ん!ハアハア」



俺は卒業式が始まる時間まで肉君と一緒にいたかったのに肉君は早々に立ち去ってしまった。







そんな俺と肉君のやり取りを何故か直哉はぶすったれて見ていた。







「肉君びくびくしてたじゃん、なんでぶーたれてたんだよ」

教室に戻る途中、俺は先を歩く直哉に文句を言う。


「…、今分かる」


「はあ?」



急ぎ足の直哉の後ろをやっとついて行って。



そして卒業式は始まった。

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