《MUMEI》

神経が張り詰めている、表情までが強張り緊張感を伝えてきた。
降ろした瞼の下に睫毛が影を落として、柔らかい髪が額やうなじにまとわり付いている姿だけで心地好い。

自分でも引いてしまうくらい倒錯していたが、結局は精神面で愛されていたいだけなのだ。
それでも容赦なく、反り返るペニスを同時に扱いて先走りを掌で混ぜた。規則的に律動すると集束した血は彼にいやらしい粘液を誘発させる。
もう片手でお尻のローションを広げて指先で突いて確認をした。

「んん……!」

いい具合に、淫猥な雄の臭いと声が体を温めたので、後腔の肉襞を掻き分けた。
中指の第一間接まで挿して、止める。
前の亀頭を擦り合わせつつ、名前を呼びながら何度も中指を出し入れした。

「いいよ雪彦……」

「んっ……あさひさん……」

吐精する頃には中指は第二間接まで左右上下に突っ込んでぬるぬるだった。
夥しいローションと精液と切り刻んだ衣服でベッドが汚れて、奇妙な清々しいさだ。
快感を味わった余韻で、俺にもたれて後頭部が鼻先にくっつく。
中指は、ぐりぐり捻ってゆっくり引き抜く。
絖る指から糸が引いて、情火が爆ぜる。

「ごめんなさい、俺ばっかり気持ち良くなって……」

「気持ち良くなる顔に興奮したよ、恍惚ってやつ?」

「コーコツ……ですか?」

「また、シたいね……次はゴム付けてもう一本入れてあげる。痛かった?」

指を二本、尾てい骨に添えた。

「……あまり覚えてなかったです……お尻……先輩が、良くしてくれますか?」

「今のは、もう一回ってこと?」

「えっ……今……?!」

「冗談だよ。冗談!
俺もリハビリ頑張って、もっといっぱい動きたい」

性行為には、上手く曲がらない間接が不便だ。

「先輩……」

ごく自然に抱きしめられた。メガネ君の体は特別、温かくて蕩けてしまう。

「……だから、ゆっくりセックスもしていこう?」

メガネ君と俺のリズムで。

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