《MUMEI》 打ち明け前と同じように、鳩紙がきた。 ルティからだ。 いつもの場所で、いつもの刻に ルティが書く、走り書きだ。 読みやすいように工夫された文字。 ナイト特有の字。 たったこれだけでも、嬉しい。 会えなくて、寂しいから。 城を脱け出し、いつもの場所に向かう。 また、ルティは痩せたのか……… 不安が募る。 けど、ルティは変わっていなかった。 温かい腕の中で思う。 背中にあるルティの手に、安心する。 「………お前、痩せたな」 「………痩せてない………こっちが聞きたいから」 「骨と皮だけになるぞ」 「………うるさい………」 ルティの胸に身体を埋める。 「………ルティ………あのね………………」 「………どうした」 「………私………妊娠………しちゃった………」 「………ぇ………?」 「………ルティの………子供………」 「………………………嘘………だろ………?」 ルティの腕から、一気に力が抜けた。 前へ |次へ |
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