《MUMEI》

カチャ  「うわ、人いないな・・・。まあ、ちょうどいいかな」

確か同じクラスの男子生徒が屋上に上がってきた。そして、その後ろから、

「あの?話ってなんですか?」

と、俺の幼馴染の優姫が話しかけた。

(おい、あれ優姫ちゃんじゃねえ?)

(だな、話ってまさか!!)

「えっと、いきなり呼び出しちゃってごめんね」

「全然平気ですよ。それで?」

「ああ、僕は神山信。話して言うのは、僕と付き合ってほしいっていうことなんだ」

(チッ、やっぱりか。優姫は何て答えるんだ?)

(おい、将、あんまりそわそわすんなよ)

「あの・・・ごめんなさい。私はあなたと付き合えません」

(ほっ、よかった)

「理由を教えてくれるかな?」

「ええっと・・・実は私好きな人がいるんです。だからごめんなさい」

(えっ!!)

「そっか、だったらしょうがないね。でも僕はあきらめないからね」

そう言い残して神山は、出て行った。

(優姫ちゃんに好きな人がいたなんて初耳だね)

(だな・・・クソッいったい誰だよ!!)

(ほら、優姫ちゃんに聞こえちゃうよ)

優姫に好きな人がいるなんて、ああー知りてー

「はぁ〜」

と、優姫がため息を漏らした。

「好きな人がいるって言ったって、あの人は気が付いていないだろうな・・・」

「ああーっ。いつになったら気がついてくれるんだろう・・・」

そう言い残して優姫は屋上から出て行った。

「ふうー危なかったなあ」

「ばれなくて良かったな」

と優真が話しているが、俺はそんなことより優姫が言った最後の言葉のことを考えていた。

あいつの好きな人って一体誰なんだ?それに、きずいていないって言うことは優姫と仲がいい奴なのか?

・・・もしかして優真か?

「い・・・おい!将!」

「・・・」

「将!!話を聞けよ!」

「あっ!わ、わりい何だっけ?」

「たく、優姫ちゃんのことを考えんのは良いけど、少しは俺の話を聞けよ」

あれ・・・そんなに話聞いてなかったかな?

「ほら、教室に戻んないと、時間がやべえぞ」

「あっ、もうそんな時間なのか」

時がたつのは、はえなー

「戻るぞ」

「おう!」

こうして俺たちは教室に戻っていった。



放課後になり、とりあえず俺たちはそれぞれ家に帰ることにした。

自室で、俺は優姫のことを考えた。

優姫とは幼馴染だから昔から一緒にいることが多かった。

いつからだろう、優姫を仲のいい女の子と、思えなくなったのは。

今は、優姫のことになるとよく周りが見えなくなる。

「はぁー、こんなんじゃだめだよな・・・」

やっぱ、優姫の好きな人って、優真なのか?

優姫は優真と仲がいい。だから、もしかして・・・。

・・・。やめた!考えってわかるわけじゃねぇ。

優姫に好きな人がいようがいまいが関係ねえ!

俺は今までと同じく、優姫に接すればいいんだ。悩むことなんてねぇんだ。

「よし!」

俺はそう心に決めた。

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