《MUMEI》
日曜の朝
“陽菜のこれからの行動見て決める”


僕の考えは、少し甘かったのかも知れない。
自分の本能に従って、陽菜の気がおかしくなるくらい傷つけていた方が、僕の心は満たされていたのかも知れない。


ずっと不思議な感覚だった。

毎日のように観てたAV。
画面の中の男女に、僕と陽菜の姿を重ねてた。
初めは泣いて抵抗してても、僕だけの従順な奴隷になってくれることを、願ってた。

陽菜の全てが欲しかった。
泣き虫で弱い陽菜も、僕だけのものにしたかった。
僕の愛を全身で、受け止めて欲しかった。
そして僕も、陽菜の愛を全身で感じたかった。







だけど、僕は…

陽菜の苦しむ表情や、怯える表情が愛しくて…
なんだか、それだけで充分な気がして……


これって愛なのかな…?
なんて違和感を抱いていた。


けど…“行動見て決める”そう言ってから、陽菜は僕に尽くした。
ボロボロの体で何度も僕を求めて、僕の全身に口付けした。
僕が望んでいたものとは少し違ったけど、普通の恋人同士みたいに陽菜は僕を求めた。


『いい子だね』
そう言って頭を撫でると、陽菜は安心したような表情を浮かべて、やがて眠りについた。
僕に甘えるみたいに、ぴったりくっついて眠る表情は、満足そうに微笑んでいるように見えた……。




これが、本当の愛…?

僕が欲しかったもの…?

陽菜を信用しても…いい……の?














『おはよう
今日、約束の日だよね?
2時に駅前でいいんだっけ?』



日曜の朝、僕の携帯がメールを受信した。
日曜14時に、会う約束をしてた真鍋からだ。


あの日から、陽菜が真鍋と接触してる様子はない。
陽菜は僕との約束をちゃんと守って、学校でも前みたいに僕にくっついて行動している。
真鍋からのメールも毎回僕がチェックして、返信の内容も僕の言う通りに打たせてる。


『おはようございます☆
2時に駅前ですよ(^_^)
時間は大丈夫そうですか?』


『大丈夫、ありがとう
せっかくの日曜にごめんね』


真鍋の低姿勢な返しは、いつ見ても腹が立つ。

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