《MUMEI》
ミズキ
真知子の携帯電話から、着信があった

声の主は、高橋一義

俺の母を、犯した男だ

日本に戻って来てたのか?!

真知子は次世代の若い一族の者に、一族再建を見出だそうとしてた

言い換えれば、今の世代の一族を、蔑ろにする、舵取りだった

真知子が自由に動かせる資産も、かなりある

一義は、俺に
お前の密偵は捕らえた、そう、言ったんだ

真知子が囚われの身になってるって事だよな

密偵扱いされたのか

どうしょうもない、バカどもだ
真知子が見捨てたら、一族は、完全崩壊するのにな

呼び出された場所は、父と母、そして、ミズキが眠る墓だった

寒さが身に染みる11月末の夜

そして、誰も居ない墓の前に着くと
何処からともなくチンピラ達が、現れたんだ

神主が居た

オドオドしてやがった

脅されてるのか?

恵太、黙って、一族の全ての資産を、放棄してくれ、頼む

神主が、俺に、そう言ったんだ

家族でも、人質にされたのか?

恵太、頼む、それしかないんだ!

伯父でもある、神主の言葉に
俺は、脚を肩幅より少し広く開き、戦う姿勢を取ったんだ

負けることは、死を意味する
お前の家族はあの世で父に、なんて詫びを入れるのかね?

恵太!、頼む、頼むから!

俺にしがみつこうとした、神主が、冷たい地面に転がった

なるほどね、お前は一族を、捨て
資産を独り占めにしたってことか?

声の主を見た

一義、よく、俺の前に姿を表してくれたな、待どうしかったぜ

真知子が死ぬぜ

覚悟は出来てるだろうよ

ふっ、全てを見捨てるのか?
一族より、金か?

外道には、理解出来んよ

その時、一義の後ろから女が表れた

お兄ちゃん

!、ミ、ミズキ、
そ、そんなバカな、ミズキは、死んだはず

改めて、連絡する
ミズキは預かっとくぞ

待て!

殺すぞ、ミズキを、残された、唯一の家族をな
引き上げるぞ!

ミズキの頭に、拳銃を突きつけてる、一義

そして、チンピラと一義は、闇のなかに消えて行ったんだ

…………

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