《MUMEI》
再び、街へ
墓参りのとき、神主の息子が居た

父の目を、覚まして頂き、感謝しております
父が、刑期を終えて出てきたおりには、
ご挨拶に伺う所存です

深々と、頭を下げ、そう話してた、若く新しい神主

家族は?

はい、体と心に傷をおいましたが
あなた様に比べれば、小さな事と、
前を向き、生活しております

そう、よかった

相変わらず、父も、母も、妹も、何も話し掛けてはくれない

何故、俺だけ生きてる

もう、やることも、ないのに

恵太様、街を見て廻りましょう

真知子が言ったんだ

…………大形ショッピングモールが、オープン間近だった

並ぶように、他系列の大形店も、出来てきてた

そして、道路の反対側には車メーカーの店が並んでた

駅前は、綺麗になり、タワーマンションが仕上がってた

駅ビルも、出来上がってたし
分譲地には、家もたくさん、建ってた

小さな川沿いの、桜並木
川は、所々顔を出すけど、蓋をされ、その上に、公園や、遊歩道になってた

緑の多い、都会
そんな街になってたんだ

もうすぐ、こちらでも桜が咲きますね

真知子の言葉

そう言えば、病院の庭に、桜が咲いてたよな

車は、本家があった場所に

あなた様の屋敷です

真知子が言ったんだ

雪の降る、この街だから、屋根は斜めになってるけど
鉄筋コンクリートの家だった
昔の面影は、どこにもない

門を車のまま、通り抜け、弧を描く玄関先に、車が停められた

お帰りなさいませ、ご主人様

メイド?

執事の相馬で御座います
何なりと、申し付けくださいませ

お気に召しませんか?

真知子の言葉に答えなかったんだ

…………

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