《MUMEI》
もう1つの呪い
「セレナ様。お願いです。ここで働かせて下さい。」

沙羅は頭を下げた。


「沙羅。頭をあげなさい。」


「・・・」


セレナは沙羅を見つめた。


「確かに、私は王家の者ではない。魔力も皆より少し高いぐらいだから、私が信じられない貴女の気持ちも分からなくはないわ。でもね。わたしは、誰よりも魔界を守りたいって思っている。魔界が大好きなのよ。ね?貴女もそうでしょう?」




セレナは沙羅の頬を手でなでた。

セレナの姿はすごく幼いけど、今は、山より大きく見える。



「はい。」



沙羅の頬に涙が伝った。



「あのね。アイン様は、魔界に人間が入れなくなる呪いの他にもう一つ、呪いをかけたの。
王家の者以外、王になれないように、王家の者以外が王になったらその人の時が止まる。つまり体が成長しない。それどころか本来より幼くなってしまう。

私みたいに。

アイン様は2つの呪いをかけて亡くなった。

私は、この2つの呪いを解いて、前みたいに、人間と・・・いや、他の世界と仲良く幸せに暮らしていきたい。

そう思っている。



その為には幸紀の力が必要なの。私は何も出来ないから。


呪いはね。王家の者にしか解けない。

だから、幸紀が呪いを解くまで、私は元の姿には戻れない。
幸紀には近いうちに全部話すつもり。」

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