《MUMEI》
血だまり
「………っ………く………ぅっ」


「今日はそれで許してやる」


あり得ない力で蹴られた腹が痛む。

『貴様のだーい好きな姫様、子をおろしたらしいぞ』


ラークが勝ち誇ったように言う。


『………っ………』

『残念だったな』


リリィ………


確かに、そうするのが、正答―


納得したのに―


冷たい床から身体を起こす。

手は後ろで縛られている。
傷口を調べられない。


床一面に血が散っている。

大きな血だまりが顔の真下にある。



『………ルティ………私ね』


リリィの声が聞こえた気がした。



無意識に涙が流れた。


ナイトになってから泣いたのは、初めてだ―



血だまりの中に流れて、落ちた。

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