《MUMEI》
羞恥心。
呼び鈴が鳴り、扉を開けた。案の定、千雨がいた。
「おはよう、千雨。今日も早いね」
僕はもはや自然に家へ招いた。だが、千雨は少し固まっている。
「千雨?どったの」
モジモジとしながら俯いている。
「昨日………のこと………」
「へ?………お、おぉう」
あの時のことをぶり返すか。恥ずかしいじゃないか。
「先輩、先輩。鼻血、出てますよ」
「おおう!つ、つい………」
自分の顔が赤くなるのを感じれる。僕は床に置いてあったポケットティッシュから二枚ほど鼻にティッシュを当てる。
「大丈夫大丈夫。今日、僕は何もしないよ。昨日は………ついね」
あんなことになったら、きっと皆ああなる。
「まぁそれに………痛そうだったし………。ごめんね。もう当分、少なくとも僕が社会人になるまでは、やらないよ」
入れた瞬間の千雨の顔。本当に痛そうだったからなぁ。
「別に大丈夫ですよ!それに………やっぱり少し痛かったけど、後半は………気持ち良かったんで………きゃっ」
千雨は両手で顔を覆う。なんだか僕まで恥ずかしい………。
「先輩さえ良ければ、私はいつでも良いですよ。先輩とするの………嬉しいですから」
か、かかかわっ、可愛いぃぃいいい!!と叫んでしまうと千雨の鼓膜を破りかねないので自粛した。
「あ、でも今日はダメです!今日から生理中なんで!」
「それはどや顔でピースするほどの情報か?っていうか女の子ならそこら辺も恥じらってもらいたい!」
「だって彼氏に内緒なんかしたくないじゃないですかー」
「それはそうだけれども!もっと違うベクトルの羞恥心を持とうよ!昨日なんか簡単に裸ワイシャツに………ってそういえば昨日のワイシャツはどこから出したんだ!?僕は用意した覚えないぞ!?」
全てをひと息で言い切った。すごい肺活量だな、僕。
「あぁ先輩。あのシチュエーションでジャージとかスウェットはないと思いますよ。ああいう時用意するのは裸ワイシャツって相場が決まっているんです」
「そんな世間の評価なんかいらないよ!っていうかやっぱり千雨が勝手にワイシャツを出したのかー!」
あああー!なんかテンション上がるー!
僕はこの日、千雨のボケ(?)に対して全てツッコミ、翌日ノドが腫れた。

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