《MUMEI》
朝。
「あっ!」
―――という間に冬休みが終わり、とうとう三学期の時期になった。まぁ僕たち三年生にとっては二月は自由登校だから後一ヶ月しかないわけだが。
そんな僕は始業式早々やらかしてしまった。
「どうしたの、晴斗先輩?」
千雨が前屈みで僕の表情を伺いつつ微笑む。ドキッとするが、今はそれどころではない。
「数学の宿だ………プリントを忘れたんだ」
僕の学力は上の下をキープしているが、数学だけが壊滅的だったりする。卒業の一歩手前まで来ているにも拘わらず未だに数学の合格点を取れずに補習の毎日という事など死んでも知れたくない。
はぁ、まぁいいや。
「先輩、取りに行くんですか?」
「遅刻するけど、プリントないんじゃ補しゅ………授業にならないからね」
それに僕が今遅刻しても痛手にはならない。もう卒業だし。ちょっと怒られるだろうけど。
「私も行っていいですか?」
「へ?………いやダメだよ。遅刻しちゃうじゃん」
僕と違って千雨はまだ未来がある………まるで僕が死ぬみたいな言い方だなぁ。
進学に響いてしまうのでは、ないだろうか。
「大丈夫です。ただ先輩と少しでも一緒にいたいんです」
笑顔でそう言われちゃあ、もう僕に止める事はできない。

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