《MUMEI》

新しい車が届いたんだ
その車に優子を乗せ、翔の家に
そして、優子を送りどどけ、春奈ちゃんを乗せた

なにか、話してたな、二人

春奈ちゃんと、デートかぁ

何処か行きたいとこ、ある?

べつにないよ

春奈ちゃんを乗せて、走り出したんだけど
会話が直ぐ途切れちゃう

車、新しくしたの?

春奈ちゃんから、話題を振ってくれた

うん、前のは壊れちゃったから

かっこ良かったのにね、ドアが上に開いて

うん、でも、使い勝手悪いしね
これなら後ろにもシートあるし

なんて車なの?

アストンマーチンって言うんだ

外車なの?

うん、イギリスの車

ふ〜ん、ハンドル右なんだ?

イギリスは、日本と同じ、左側通行なんだよ
ふ〜ん
ねぇ、この車なら自慢できる?

へ?

前の車だったら、行きたいとこ、あったんだけどね

春奈ちゃんの言う意味が、わからなかったんだ

好みがあるからね、気に入る人も居れば、
なんだよこんな車って言う人も居るよ

高いの?

え?、あ、うん、まぁまぁかな

バイパス右に曲がって

あ、うん

急に言うから、かなり強引に、右折ラインへ入ったんだ

クラクションを鳴らされた、パッシングも

そして、右折していくと、スンゲースピードで、追い越していった真っ赤なポルシェ

追い抜いて!

春奈ちゃん、そう叫んだんだ

へ?

早く!

取り敢えず、アクセルを踏んだんだ

重たい車体が一気に加速した
ランボルギーニみたいな、軽さは感じないけど
派手ではない、排気音と、滑らかなエンジン音で、一気にポルシェに追い付いたんだ

軽く、シートに押し付けられた春奈ちゃんが
早いね、この車

そう、言ったんだ

前の車より、遅いよ
でも、品ごある加速なんだよね
俺、こう言う方が好きなんだ

ふ〜ん
ねぇ、行き先は、前の赤い車と同じだよ
着いてって

春奈ちゃん、そう言ったんだ

…………ログハウスのような作りの、喫茶店の駐車場

赤いポルシェの隣に車を停めたんだ
春奈ちゃんの指示で

左ハンドルのポルシェと!助手席同士が並んだ

そして、お互いの車の助手席のドアが開き
ぶつかったんだ

ちょっと!気を付けなさいよ!

ポルシェの助手席の女が怒鳴ってた

気を付けるのは、そっちでしょ

春奈、あんただったの?、生意気ね、乗用車の癖に

春奈ちゃん、ポルシェの女を無視して

行こう、珈琲は美味しいんだよ

俺のとこにきて、腕を絡め、言ったんだ

待ちなさいよ!
あんた、どうしてくれんのよ、傷付いたじゃない!

ポルシェの女が騒いでた

細かいこと、グダグタ言わないでよ!

振り向き春奈ちゃんが怒鳴ってた

ポルシェの運転席の男が、女を止めてたんだ
なによ!

止めろよ、アストンマーチンだぜ

なによ、その、アストンなんとかって

お前のポルシェ、4台買えるぞ

!、そ、そうなの?!

行きましょう、恵太

春奈ちゃん、俺を呼び捨てにして、腕を引いたんだ

柔らかい、貧乳じゃないよなぁ

送られてきた写メを、思い出しちゃった

恥、かかさないでね

小声で春奈ちゃん、そう言ったんだ

………

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