《MUMEI》

「普段はクールなのに甘いものを食べてる姿は可愛いね」
学校の近くの喫茶店に入った私達はカウンターで並んでケーキを食べていた。
「……恥ずかしいんで、止めてください」
「うーん…
可愛いからやめない(ニコ」
イタズラっぽく笑いながら言う赤羽先輩。
その笑顔に、私は……ダメダメ、流されちゃいけない。
「…どうしたの?
急に頭なんか振って」
「ぃ、いえ、なんでも無いです」
思考が動作に出ていたようだ。
「…ぃ」
「?
なにか言いましたか?」
「ううん、何も言ってないよ」

十数分後、お互いに注文したものを食べ終わり、解散することになった。
「ごめんね、呼び止めて」
「いえ、大丈夫です」
「土日は大抵部室にいるから、良かったら遊びに来てよ」
「ま、まぁ、気が向けば…」
もっとも、それは赤羽先輩に私が惚れるくらいの可能性なのだろうけど。
……案外、来週あたり行きそうな気がする。
「じゃあ、またね」
「ええ、さようなら」
よし、これで今日も私が百合でないことが証明された。
………たぶん。

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