《MUMEI》
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「じゃあ…行って来るね」
…もうこんな時間か。
姉が浴衣姿で玄関出掛けるところだった。
「センパイと仲良くね(ニヤニヤ」
「うー…
あ、文葉がお祭り独りで寂しいって言ってたよ?」
「え、赤羽先輩が?」
「気になるの?」
「別に…」
本当は少し気になるけど…。
「そ、そんなことより、センパイ待たせてるんじゃないの?」
「あ、そうだった!」
どうやら話題を逸らせたらしい。
「じゃあ改めて、行ってくるね」

独りになってから私は冷静に考えてみた。
…さっきのあれは露骨過ぎたかな。
居間のソファーの上で悶えていると赤羽先輩からメールが来た。
『親愛なる後輩、翼ちゃんへ
今日は隣町のお祭りに行こうと思います。
そう、翼ちゃんの町の神社のお祭りです
でも独りで行くのはちょっと寂しいな…』
…誘われているのだろうか?
いつもみたく赤羽先輩に踊らされるのは嫌だから行かないけど。
『お一人様ですか?
私も相手がいないので、家に引きこもってます
頑張ってください』
送信っと。
よし、問題は去った。
と思ったらもう返信が来た。
早いなぁ。
『今、家なんだ
ちょうど良かった♪
またね』
……嫌な予感がする。
【ピンポーン】
まさか…。
「…どなたですか?」
玄関の扉を開くと、案の定赤羽先輩が笑顔で立っていた。
「迎えに来たよ〜」
「…どうかしましたか?」
「お祭り行こう?」
「……私は独りなので引きこもると言ったはずですが」
「だから、二人で一緒に行こうって言ってるんだけど…」
……。
………先輩と後輩が一緒にお祭りに行くくらい普通のことだよね?
「…し、仕方無いですね
どうせ暇ですから一緒に行って上げますよ」

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