《MUMEI》 8/18「じゃあ…行って来るね」 …もうこんな時間か。 姉が浴衣姿で玄関出掛けるところだった。 「センパイと仲良くね(ニヤニヤ」 「うー… あ、文葉がお祭り独りで寂しいって言ってたよ?」 「え、赤羽先輩が?」 「気になるの?」 「別に…」 本当は少し気になるけど…。 「そ、そんなことより、センパイ待たせてるんじゃないの?」 「あ、そうだった!」 どうやら話題を逸らせたらしい。 「じゃあ改めて、行ってくるね」 独りになってから私は冷静に考えてみた。 …さっきのあれは露骨過ぎたかな。 居間のソファーの上で悶えていると赤羽先輩からメールが来た。 『親愛なる後輩、翼ちゃんへ 今日は隣町のお祭りに行こうと思います。 そう、翼ちゃんの町の神社のお祭りです でも独りで行くのはちょっと寂しいな…』 …誘われているのだろうか? いつもみたく赤羽先輩に踊らされるのは嫌だから行かないけど。 『お一人様ですか? 私も相手がいないので、家に引きこもってます 頑張ってください』 送信っと。 よし、問題は去った。 と思ったらもう返信が来た。 早いなぁ。 『今、家なんだ ちょうど良かった♪ またね』 ……嫌な予感がする。 【ピンポーン】 まさか…。 「…どなたですか?」 玄関の扉を開くと、案の定赤羽先輩が笑顔で立っていた。 「迎えに来たよ〜」 「…どうかしましたか?」 「お祭り行こう?」 「……私は独りなので引きこもると言ったはずですが」 「だから、二人で一緒に行こうって言ってるんだけど…」 ……。 ………先輩と後輩が一緒にお祭りに行くくらい普通のことだよね? 「…し、仕方無いですね どうせ暇ですから一緒に行って上げますよ」 前へ |次へ |
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