《MUMEI》
ミヤ
「ねぇ、お兄ちゃん…ベンキョー教えて?」

妹・羽澄 美夜(ハスミ ミヤ)。

兄・羽澄 彼方(ハスミ カナタ)…俺。

俺は理性と本能の狭間で闘っていた。

潤った唇を少し開けて、上目遣いで訊いてくる、俺の妹。

俺も健全な男子高校生2年目・17歳なんだ。

ミヤは中3・15歳。

兄妹なんだけど、俺の心には秘密がある。

『ミヤが好き』

本人には言ってない、俺だけの秘密。

本とかでよくある、兄妹で恋愛関係…というのとはちょっと違う。

俺は、ミヤが好きなんだ。

ただただ、好きなだけ。

友達には『お前、どんだけミヤちゃんLOVEなんだよ』って言われる。

これは、俺の心を知ってるんじゃなくて、普段俺がミヤのことばっか話すから。

友達に暴露したわけじゃない。

まぁ、言われたときは『ちょっとシスコンなんスw』って笑ってごまかす。

「……ん! お兄ちゃん!」

「ん? あぁ、ミヤか」

「ミヤか、じゃないよもう。 ベンキョー教えてってゆっとるじゃん」

「わかりましたぁ!」

「うるさいよ、ほんまに」

呆れ顔のミヤ。

ミヤは幼少期を広島で過ごした。

だから、広島弁。

俺はというと、標準語。

ずっとばあちゃん家いたからだな、多分。

「で、どこ? 分かんないの」

「んーとね。 ここが分からん」

「ここ? 基礎じゃん」

そう言って、早口で教える。

問題が進み、ミヤの課題も終わった。

「恐るべし、スパルタ兄!」

「なぁにが、スパルタだ。 高校入るとこんなもんじゃねぇよ」

ミヤは、トボトボと部屋へ帰ろうとする。

「――何?」

ミヤの声が俺の部屋に響いた。

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