《MUMEI》
ヘン
俺、何してんだろ。

ミヤの細い手首をつかんでいる、自分の手を見る。

「あ、いやその――」

響いたミヤの声が、いつもより冷たい気がしてしどろもどろになってしまう。

「ミヤ、さぁ。 キスしたことある?」

何を話そうかと思った俺は、今までずっと気になっていたことを訊く。

「――何なん、さっきから…お兄ちゃん今日ヘンなよ?」

その通りなことを一歩前に出て指摘されて、思わず後ずさり。

「―キスは、したことあるよ? もう中3なんよ、子供じゃない」

「!」

「ていうか、兄が妹に恋愛遍歴とかキス履歴とか訊くって、少女マンガみたいな展開じゃねぇ」

クスクス、と笑う。

「!?」

心読まれてる!?

だって、近親相姦的なことって、現実ではあんまり聞かねぇし。

少女マンガっぽいじゃん。

そうなってるのかも、お兄ちゃん。って思ったわけだろ。

俺が、ミヤのこと好きってバレてるのか?

「お兄ちゃん、あたしのこと好き?」

俺はその場に立ち尽くした。

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