《MUMEI》
いつのまにか
「いんじゃない? 妹好きになっても」

ミヤは―ミヤの気持ちは…?

「あたしは……その気持ちに応えられんけど」

頭が真っ白になる。

俺は、心のどこかで、少女マンガのような展開を望んでいた。

2人は両想い、2人は本当の兄弟じゃない、2人は結ばれる…。

そんな現実、俺の周りにあるはずがない。

タレめの目も、分厚い唇も、死んだ母さんのこと大好きなのも――。

全部、俺ら似てんじゃん。

なんで好きになったの、ミヤのこと。

なんで望んだの、結ばれること。

世の中に“いつのまにか”がなかったら。

俺は“いつのまにか”ミヤのことを好きになってなかったかもしれない。

なんで恋は“いつのまにか”始まるわけ?

人を好きになる気持ち、作ったの誰だよ!

そんなのなければ、俺は――!!

「うあぁぁぁあ!」

ミヤがクスクス笑いながら出て行ったあとの俺の部屋は、暗かった。

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