《MUMEI》 「別に…迷惑じゃないからいい」 原稿に目を落として言う山田。 「それから、開けっ放しにしないでくれる? 落ち着かないんだけど」 「ご、ごめん…」 慌てて扉を閉めて中に入る。 山田は相変わらず何かの原稿をペラペラと捲っている。 「…あぁ、これ? 天野妹ちゃんのだよ 結構面白いね」 …どうやらもう遅かったらしい。「…そう?」 「だよ? ちょっとありきたりだけどね」 やっぱりか…そうだよね…。 落ち込んでいる私を見てか、山田は『しまった』というような顔をしている。 「私……こういうことに向いてないのかな?」 「そ、そんなことないよ 面白いことを一から作るなんて、ほとんど出来ないもん」 フォローされていることが分かるから、辛い…。 前へ |次へ |
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