《MUMEI》

静かなお正月
街は至って平和だ

優子を連れ、母の生家
青柳の里を訪れた

新たな歴史を刻むのに、過去の習わしを全て、破棄する

俺の決めたやり方だ

訪ねてくことは、連絡済みだ

どんな歓迎をされることか、
ま、行けばわかること

先に言っとくね

ん?

ピル飲んだわ、犯されるかもしれないでしょ?

そんなに荒々しくなるかな?

わかんないじゃない!

うん、そうだけど

顔や身体に傷物にされたら、嫌われちゃうもん

守るよ、必ず

足手まといになったら、捨てて

嫌だね

なら、自ら絶つわ!

ダメだよ

戦場に行く兵士は、こんな気持ちなのかな?

戦いになるとは限らないでしょ?

………覚悟は、してなきゃ

まぁね
着いたな、ここだ

うん

行こうか?



優子の唇は、勇気を貰えるね

くすっ、もぅ

なかなか、立派な屋敷だ
表向きは、健全な団体だもんな
さて、何が出てくる事やら

車を敷地に入れ
適当に停めたんだ

出迎えの、巫女が二人来た

お待ちしておりました
此方へ

いくよ、優子

は、はい

この巫女、ただ者じゃないな
摺り足を使ってる
荒々しい気配は無いが、恐ろしく強い

直感したんだ

優子も緊張してたみたいだ

案内されたのは、屋敷の応接間だった
畳の広い部屋
囲炉裏が真ん中にある

ひとりの夫人が現れた

高橋恵太ですね
生憎、青柳当主は、出払っております
私くしが、お話を伺いましょう

失礼ではありませんか?
高橋一族の総代に対して、当主不在とは!

貴女が優子ね
突然の訪問でしたのでね

無礼ですわね

無礼は、同じかと

先程の巫女が、現れた

お連れ様の警護をさせましょう
何分、貴方は嫌われ者ですのでね
息巻いてる者が、収まりつかないと申してますので

離しなさい!

優子、その巫女は手練れだ、力では勝てない

恵太!

連れ去られる優子
俺の周りを、男たちが囲んでた

うろたえるな、優子、離れて見てろ

巫女を睨み、そう言ったんだ
別室に、連れていくなという、意思表示だ

奥方様

そうなさい、見届ける為に、連れてきたのでしょうから

巫女と、この婦人との会話だった

手土産だ

婦人に、差し出したのは
歴史の影で、青柳一族が動いた証拠の書だ

本物ですね
これを、渡すと言うのですか?

父とはやり方が異なるのでね、俺には必用無い物だ

高橋一族の総代として、来られたのですよね?

肩書きなど、必用なのか?
俺は、高橋恵太だ

では、本物かどうか、試させていただきましょう
偽物がたくさん居ますのでね

クローンか?
それとも、偽ミズキのような、作り物か?

我々に、言葉は必用ありません

戦いに来たのでは無い

逃げ腰ですか?

キャァー!

優子の叫び声

長い刃物で服が切り裂かれてた

なかなかの美人
兵の慰み者にでも、させましょう

…………お前、誰だ?
当主は、何処に居る?

俺の問いに対して

静かに立ち上がり

仲間諸とも、始末なさい

そう、婦人は言ったんだ

問答無用って、訳か

静かに立ち上がった、俺の前に
女物の服が、投げられた

関わるから、こうなるのです

俺が、春名に買った服だ!

刺客を送ったのか?!

あの世で話すと良いでしょう

…………こう、なるのか、
これしか無いのか
真知子、後を頼んだよ

俺の中の、スイッチが入ったんだ

……………

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