《MUMEI》
一通目 from…
俺は自分を不幸だと思っている。
学校はくだらない。学校に行っても話をする友達はひとりもいない。目立ちたいだけの馬鹿な奴が俺みたいな奴を対象に腕を振るってくる。心と体、その両方に傷をつけるような施設だ。
引きこもって大分経つ俺を、両親は諦めている。何を?全てだ。
昔から学歴学歴と口を開けばいつも言っていた親父はもう俺と目を合わせようとしない。
お袋は毎日丁寧に部屋の前に食事とお金を置いていく。目が合う度にため息を吐かれるところも、慣れた。もう俺に愛想を尽かしたのだろう。妹もそうだった。
最後の砦とも言えた、俺の幼なじみである女には、最近彼氏ができたらしい。この間偶然会い、長い間、自慢話された。彼氏という言葉の一つ一つが槍のように俺の心を突き刺していた。
この時自覚した。俺は誰かに見てもらいたかったんだ、と。
そのために引きこもりを引退しようと、バイトを始めたりした。しかし、初日に店長と大ゲンカし、思い切りまな板を投げつけられた。しばらく鼻血が止まらなくなった。当然クビだ。
何をしても上手く行かない。
つまらない。
俺は今、人生に絶望している。
だけど、死ぬ勇気は俺にはない。
近所の公園を歩いていると、池の前に一つのベンチがあった。俺はそこに腰かける。そして、大きくため息を零した。
誰も俺を見ない。
人生に希望はない。
人生に、情けもない。
学校にも、家族にも、好きだったかもしれない幼なじみの中にも、俺が存在していい理由が存在しない。
生きている意味、あるのか?
どこかに楽にぽっくり逝けるような自殺の方法があれば、俺は喜んでそれに縋るだろう。
もしくは、ここに急に通り魔が現れたら、喜んで刺してくれと懇願するだろう。
俺は死んでも、誰も気にしない。
いつしか家族の中にも俺はいなくなり、この世に俺という存在はなくなる。
それでも良い、と思った。
ふと頭を上げると、キレイな音が流れてくる。
何気なく聞き入っていると、涙腺が緩む。
澄んでいて、悲しくて、儚い…………そんな音色。
辺りを見回すと、ベンチにはオルゴールの箱が置いてあった。
さっきまで鳴っていなかったような気がするが、気のせいか?
開けてみると、オルゴールの音は止む。中には三つ折りにされている紙とペンが入っていた。
何気なく紙を開く。紙には一文が書かれていた。
それを見て、俺は息を飲んだ。


―――あなたは、今、幸せですか?

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