《MUMEI》
10kg
重い。
息苦しさで目が覚めた。

枕元の携帯で時間を確認する。まだ5時じゃないか。

腹部には七生の足が。圧死させる気だ……。


踵を持ち上げようとしたがびくともしない。
硬い踵。大きい足。投げ出された足の筋肉は形良く分かれている。足だけでもこんなに重たいのだから全身でぶつかってこられたら一たまりもないだろう。



ましてや女性は、潰れて…………壊れてしまうかもしれない。


この足は何人の女性を絡めてきたのか。


―――――罪作りな足だ。







……何を考えているんだ俺。寝起きだからか?



もう一度退かそうと手に力を込めた。

無理……。熟睡している。寝息が肩の上下に合わせて響いた。
幸せそうだな。

彼女なら上手く七生とやっていけそうだし。
俺なんかいなくても学校でなら寂しい週末デートじゃなく好き放題いちゃこら出来る。

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