《MUMEI》

馬鹿、馬鹿七生。



女が好きならなんで俺なんかにキスしたんだ。
俺から離れようとするんだ。


お前なんか、こっちから願下げだ。




反動で腹部から胸元まで足を移動させた。
肺が潰れそう。



憎たらしい七生の硬い足に噛み付いてやろうと首を伸ばすが届かない。
臑毛もなんか不快だから踵にする。


こんなに硬いと折れるんじゃないか?気が付かれて蹴られたら顔面にタン瘤を作り兼ねない。
怖くなった……暴れられないように臑を両腕で固定した。



踵に顔を近付けた。鼻が引っ付く。

気付かれないように静かに息を潜めて唇が触れる。

体が熱い。きっと七生の体温が腕から伝ってるんだ。

何が本来の目的だったのか、あまりの心地良さに忘れてしまいそう。

小動物みたいに暖かいのに鉛みたいに重たくて、何処までだって沈んでいける。
…………力入んない。


唇が踵に沈む。
舌が平たく当たる、歯が表皮を浅く擦る。



    「……フ」




鳥肌が立つ。
こんなこと間違ってる、でも足が体温が俺に浸透して離れられない。

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