《MUMEI》 二通目 from Miwa―――ご返事、ありがとうございます。 質問なのですが、私は幸せでは、ないです。 私は、両親を失いました。 そう綴って、私はそのまま手紙をオルゴールの中に入れた。 形見のオルゴールをそのままにしておくのは心が痛むし、できれば持って帰りたい。 けど、私はもう一つの感情が芽生えている。 返答者がどういう人間か、気になる。 男ということしかわからないけど、どうやら返答者は自分を不幸と言っている。 やはり、幸せっていうのは、選べないんだ。 というか、幸せっていうのは、自覚できるのか? わからない。私は幸せを自覚したことがないから。 幸せっていうのは、思い出して、初めて幸せになるんじゃないかな。 幸せと感じるんじゃないかな。 それは不幸も同じ事だけど。 さて、彼は一体、これをどう返してくるのかな。 赤裸々、というか、不幸自慢しているみたいに、私の不幸は晒け出した。 無視かもしれない。それならそれでいい。オルゴールを回収するだけだ。 3日、待つことにした。3日後に来て、返事がなかったら、オルゴールを回収しよう。 そう決めて、私はベンチから立ち上がった。 オルゴールが鳴っている。それに背を向け、私は歩いた。 私は、彼が気になる。 前へ |次へ |
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