《MUMEI》
嫌いじゃない
二人の間には重い空気が流れる。



俺は少し考えてから、口を開いた。






「確かに人間は魔界や天界に対して最低な事をしたのかもしれない。
だけど、俺は人間を嫌いになることは出来ないよ。」



瑠菜は表情が変わらない。疑っている。
俺の言っている事が信じられないんだ。




「どうして?」


瑠菜は俺に泣きそうな潤んだ目を向けてきた。





「人間はやっぱり、俺達と考えが同じなんじゃないかなって思ったんだ。」



「同じ?」



「そう。俺達は・・・いや俺は自分の国を守りたいって思う。人間も・・・自分達の国を守りたいって思うんじゃないかな?
ただ、それが他の人を傷付ける結果になってしまっただけで。
人を傷つけるくらい世界を守りたいって想いが強かった・・・。
俺はそうだと思う。


まぁ。俺だったら、皆の涙を見ないように国を守るけど。」






話終わってから俺は瑠菜を見た。


瑠菜は・・・






泣いていた





・・・。





俺の言葉を聞いて泣いたんだ。

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