《MUMEI》

「隠してた訳じゃ無いけど、私は両親が早くに亡くしてね…
私と二つ年下の妹とで、施設で生活してたの
「たった一人の家族だったこともあって、私は妹が大好きだった
「妹が死んだときは目の前が真っ暗になったようだった
だって私には、妹しかいなかったんだから…
「施設には良い人ばかりだったけど、私は誰にも…」

「昔話なんてしても始まりませんよ」

私は赤羽先輩の声を遮るようにして言った。
「先輩の過去は確かにショッキングでした」
先輩は驚いたように目を丸くしている。
「でも、私からすれば、赤羽先輩は私の先輩でしかない訳です」
「…それで?」
「つまり、これ以上見たく無いんですよ…」

「…先輩が
……大好きな、赤羽先輩が
哀しんでいるところなんて」

私は、紅くなった頬を見られないように、そっぽを向きながらそう言った。

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