《MUMEI》
先輩
   〜麻子視点〜


優斗の優しい言葉に触れ、出た涙を

拭いながら家に向かう。

明日クラブに行ったら

みんなに今日のことを

謝ろう!

そして今までみたいに

クラブに私情を

挟まないように

するためにも



・・・強くならなきゃな!

明日の決意をしていると

"ぐいっ"っと誰かに

腕を引っ張られた。


ビックリして

振り返ると・・・

「あっ!谷本先輩??」

思わず声が漏れる。


谷本先輩は、男子バレー部のキャプテンで

3年生だ。

爽やかで結構モテるみたい。

でも私は挨拶するぐらいで

あまり話したことがない。

走って追いかけて来たのか

息が切れている。


何であまり話したこともない谷本先輩が・・・??

私は、この状況を

イマイチ理解出来なかった。

すると谷本先輩が呼吸を整え口を開く。

「田中が、部活で怒られるなんて珍しいし

途中で帰るから

そうとう落ち込んでるのかと思って。」


私は、少し返答に困りながら

「あっ、心配かけて

すいませんでした。

でも、もう大丈夫です!」っと言った。

「そっか!なら良かった。

それでこそ田中だよな!」っと言って先輩は笑った。


私も、つられて笑った。

それでこそ?

どういう意味なんだろ?
って考えて

はっとした。

「でも先輩?

クラブはどうしたんですか?

先輩キャプテンなのに・・・。」

私は、はっとして気づいたことを聞いた。

すると先輩は

「まぁたまにはね・・・。

田中のこと心配だったし・・・。」っと言って

顔を背けた。


先輩って優しいなぁ〜。

ただ同じバレー部ってだけで

こんなに心配してくれるなんて・・・。

同じバレー部っていっても練習別々なのに。

先輩がモテるのも頷けるや!

私は、そんな考えを巡らしながら

先輩にお礼を言う。

「心配して下さって

ありがとうございます!

明日からは

ちゃんとクラブに

支障が出ないように

頑張ります!」

すると先輩は

「おう!頑張れよ。

田中なら大丈夫だよ。」っと爽やかな笑顔を

私に向けた。

私は「では、先輩今日は

本当にありがとうございました。」

っともう1度お礼を言い、

「失礼します。」っと言って帰ろうと

反対を向いた。

すると



また先輩が私の腕を掴んだ。

私は振り返り尋ねる。

「どうしたんですか?


先輩・・・?」

先輩は、私のことを

切ない顔をして見ていた。


先輩の顔は

夕焼けに照らされて

綺麗に赤く染まっていた。

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