《MUMEI》

無心に見つめる悟の眼前で、姉は無頓着にシャワーのお湯を今度は長い髪に振りかけると、一度お湯を止めて自分の手のひらにシャンプーを塗りたくり、一瞬悟を見てにっと笑った。
「ちゃんと、数えないと駄目なんだかんね」
いつの間にか数え忘れていた悟に駄目押しする。
悟も瞬間訳のわからない後ろめたさを感じて
「わ・・・・わーってるよ!」
慌てて、じゅうご、じゅうろーく
再びカウントし始めた。

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