《MUMEI》

姉の優里は眼を閉じ、心持ち頭を傾げるようにして、黒い髪にシャンプーの泡をすりこんでいく。
微かに開いた薔薇のつぼみのような唇と、乳頭の桜色が白い肌の中で目立って際立っていた。
悟は再び数えるのを忘れて、すっかりそんな姉の姿から目が離せなくなってしまっていた。
お湯の暑さに朦朧とした意識の中で、
全身の血がゴウゴウと渦巻くのを感じる。
その血が股間の一点に向け流れこんでいく。
身内にこみ上げる何が何だか解らない衝動に、悟は湯気の中で思わず喘いだ。
姉はシャワーのコックを手探りで捻ると、髪の泡を洗い流し始めた。
白い肌の上を するすると細い蛇のように水滴が 滑り降りていく眺めに、悟の体温が一気に上昇したようだった。

もう限界だーー!!
玄海灘だーー!!

ザバーー!とお湯を跳ね散らかして、悟は湯船の中で立ち上がっていた。
「駄目じゃないの、悟ちゃ・・・・」
怪訝そうに細眼を開けた優里の眼が、悟が立ち上がった事によって自分の正面に来た『それ』を一瞬観察し、その後まじまじと凝視した。
「え?嘘ー!立ってる?!」
悟も思わず自分の股間の変化を見下ろし、その意味が解らないながらもこれはまずい状況だ、と本能的に感じ、自分の意思に反して立ち上がったぺニスを、上から押さえつけて、下へ倒そうとした。

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