《MUMEI》

バカデカイエンジンの二人乗りのオープンカー
ドイツの車だ
値段なんか知らない
持ってこいと言って、翌日にはナンバーも取れてる

車庫証明?
俺の土地だらけのこの街で、警察が車庫証明を確認するはずもない
期限をそこねて、波乱になるより
出来ることは何でも、なんだろうな

それがまた、くそ面白くない

父の墓参りを済ませ
自宅に戻った

新しい自宅は、タワーマンションの最上階だ
俺専用のヘリも駐機してる

ひとつの部屋は、父の仏壇だけの部屋だ

いくらかかったか?知らぬ
いちいち気にしてもない

一千万でも、一億でも

ハルナの写真を見てた

イギリスに要たらしいけど
今は、東京に要るらしい
調べさせたんだ

アキナもマナブと、東京に居るそうだ

行くか

ノブ様、どちらへ?

東京だ

お供いたします

まち子、子育てしてろよ

いえ、お供致します

……………確かに、居ると便利だけどな

遠くから、ハルナを見た

結婚したハルナを
お腹が大きい、赤ちゃんが居るんだな

優しそうな旦那だ
商社マンだってな

涙が出た、止まらなかった

フルスモークの、俺の車の脇を、ハルナと見知らぬ旦那が、腕を組み、歩いてく

ドアを開け、叫びたい

必死に、その衝動を押さえたんだ

爪が、手のひらに食い込む
血が流れてた
なのに、痛みが無いんだ

歯か、ギリギリと軋む

どのくらい、時間が過ぎたのかな

辺りは暗くなってた

おもむろに、車を走らせたんだ

そして、アキナを見に行った

子供が生まれてると聞いた
洗濯物が干してある

まだ、帰ってないのかな?

託児所に、子供を預けていたのか
抱き抱え帰宅したアキナが、手際よく暗いベランダから洗濯物を取り込んでた
そして、マナブが、帰宅した

温かい部屋の明かり
笑い声が聞こえてる

幸せなら、それでいいんだ

それだけを、見にきたんだ

帰ろう

何処へ?

俺は、居場所なんて、無いんだ
ハルナを、失った時から

……………

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