《MUMEI》 席がえの日いつものように始まった。 2時間目の授業が終わり、休み時間。 男子は、いつものように教室の後ろで冗談を言いながらふざけている。 女子は、グループに分かれて思い思いに話している。 私は、そのどこのグループにも入らないで一人で携帯をいじっていた。最近、携帯小説を書いていて、コメントがきていたから、それに返信を送っていた。 「誰に、メールしてるの?」 突然、後ろから声をかけらた。 正直びっくりした。 声をかけてきのは、市村 颯人という男子だった。彼は、クラスでも背が高く好感をもたれる顔立ちをしていた。性格も誰とでも平等に接していた。 私は、驚いた顔から少し睨むような顔に変えて、 「人の携帯かってに見んな」 自分が思っていた以上に大きな声がでた。 教室の中に重い空気がながれた。 彼は何も言わない。少し困ったように私を見ていた。 私は、教室に居るのがつらくなって逃げるように出ていった。 いつもなら、すぐ終わってしまう休み時間が長く感じた。 そんなことがあってか、昼休みには誰も話しかけられなかった。いつものことだ。 6時間目。 教室がざわついていた。6時間目は、席がえがあるからだ。高校に入って1回目の席がえだった。 先生が教室に入って来て、ざわつく教室は、静かになった。 席がえの方法はくじ引きで、全員がくじを引いたのをみて、先生が黒板に静かに名前を書いていく。 一人の名前を書いたとたん教室がまたざわついた。私の隣が休み時間の時の市村 颯人だったのだ。 私が、驚いているのをよそに市村 颯人は、すましているかと思ったら少し気味悪く笑ったように見えた。 ついに、席を移動させる時が来た。 彼が、私の隣に来るなり 泣いている女の子の顔を見るように身を乗り出して、 「よろしく。」 と、面白そうに笑いかけてきた。 私は、相変わらず何事もなかったかのようにすましていた。 けれど、心情は大変困っていた。 どうしよう・・・。 前へ |次へ |
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