《MUMEI》
盲従の7日目
今日は金曜、明日はバイト休みだ嬉しいな。
アパートの階段をあがるpm7:32。
もうアイツ帰ってるかな帰ってるだろうな。アイツに渡してある合鍵はここのところ本命になりそうなくらい活躍している。
愛想のないドアをあける、耳に届く笑い声。

「ただいま」

「あ、おかえりー」

部屋に入ると相変わらずよれたスウェット姿の恋人、耳に携帯をあてて電話中。あぁ、そゆことね。
何となく疎外感を感じつつ、ジャケットを脱ぎ捨てハンガーにかける。晩飯は?用意はできているようだが、まだ食ってないらしい。

「今ね、秋本さんと話してるの」

「‥‥秋本って俺の大学の?」

「そう」

「ちょ、貸せ」

『もしもしぃーあっちゃーん』

電話の相手は何とあのイイ奴だがナンパで男前の友人だった。
さっそく接触してきたか、というか何でこいつが俺の恋人の電話番号を知ってるんだ?
そんなはずはないと思いつつも、可能性は0じゃないと悲観的なもう一人の自分、腹の底でじんわりと蠢くナニカ。

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