《MUMEI》
呼び名
「桜井さんってさぁ〜」
また来た。
この頃、私が彼と話すようになってから、彼は、前以上にしつこくなった。
「私の話しは、別にいいよ。お前の話しをしろよ。」
「お前って、ひどくない。名前で呼んでよ。」
今さら、そんな事を言い出した。
「なんて呼べばいいんだよ。」
「颯人でいいよ。俺も小春って呼ぶから」
「嫌だよ。」
即答した。
「いいじゃん。小春っ」
ふざけたように、そう言った。
「あっ、あとこれ俺の携帯番号。何かあったら、かけて」
紙切れを出して、強引に私の手に握らせた。
「こんなのもらってもかけないよ。」
「ひどっ、まぁ一応貰っといて」
キーンコーンカーコン
授業の鐘がなった。
「じゃっ、そういうことで」
「え〜」

困ったような嬉しいような
自分でも分からない変な気持ちだ。

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