《MUMEI》
携帯
珍しく颯人は、機嫌が悪かった。
「なんで電話してくんなかったんだよ。」
私より早く来ていた颯人が、隣の席で身を乗り出してきた。
クラスの人達が、何事かとこちらを見ている。
「かけないって言っただろ。」
びっくりしていたけど、すぐ冷静な顔になって言ってやった。
「普通かけるっしょ」
「かけても話すことなんかない。」
事実だ。
「じゃあ、小春の番号教えてよ。」
「やだ」
さすがに、ここまではっきり断られると黙るようだ。

少し悪かったかな

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