《MUMEI》

帰り道。
一緒に帰ろうと言って来た颯人から、逃げてもう道も暗くなっている。
ひたすら家に向かって歩いていた。そしたら
何かは分からないけど、違和感を覚えた。
後ろを振り返ってもなにもいない。
変だなぁ
そう思いながらも歩き続けた。
やっぱり変だ。
私の後ろを誰かがついてきている。
少し早く歩いた。
そして、急に後ろを振り向いた。
やはり誰かいた。
その人物は、一瞬分からなかったが、思い出した。朝いつも会う男の人だった。
犯人が分かってからは、ひたすら走った。
そして、その辺にあったコンビニに入った。
お父さんに電話をかけようとも思ったが、あの人に迷惑はかけられない。
このまま、走って逃げようか。
でも、恐怖で足が動かなくなっている。
どうしよう・・・。
本当に困った。
考えていると、颯人の顔がでてきた。
もらった紙切れを出して、その番号にかけた。
『はい』
知らない番号で警戒したような声だった。
「あの、桜井です。」
『・・・。』
返事がない。
私の頭の中が真っ白になった。
「助けてください」
いきなり口走ってしまった。

数分後
颯人が、焦った顔で私の前に現れた。
颯人の顔をみたら、安心してたぶん泣いたと思う。
コンビニを出て、犯人には何も言わずに少し睨んでいた。
こんな颯人は初めて見た。
それから、
颯人は私の肩に触れて、一緒に歩いた。

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