《MUMEI》 「あんたがやったの?」 アヅサはいつもの屋上でアラタに詰問した。 「違う」 アラタはしゃがんでコンクリートのひび割れを眺めていた。 「じゃあ仲間?」 「そんなこと聞いてない。俺に連絡が必ず来る。」 「信用されてないんじゃない?」 「くたばれ!」 頭に血が上る。 思い当たる節があるからだった。 しかし、否定する要素もあり、がんじ絡めになってしまっている 「離せ」 樹の手(この場合アヅサでもある)がアラタの右手を掴む。 振り払おうとしても離さないのは実証済みだ。 「仲間、何人居るの?」 冷静にアヅサは聞く。 「仲間なんかじゃない」 アラタは斜め後ろに視線を落とした。仲間じゃないならなんなのか、考える。 「逃がしてやろうか、この俺が。 全員半殺しにして屈服させて逆らえないようにしようか。 愛おしい樹のために。」 アヅサは自分の体の名前を恋人に囁くように呼ぶ。 「笑いでもとりたい訳? 俺のに何かしたらお前、切り刻まれるよ。首から、ばっさり」 語る名のように、死がやってくることはないだろう。知っていて互いに有り得ない言葉を吐き散らす。 そうゆうゲームなのだ。 前へ |次へ |
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