《MUMEI》
お昼の時間
教室で、颯人と初めてお昼ご飯を食べた。
緊張して味どころの話しじゃなかった。
当の颯人は、
「小春のお弁当おいしそうだな」
なんて、呑気なことを言っていた。
私は、颯人の持っているカレーパンを見ながら、
「颯人はいつも買って食べてるね。」
「うん・・・。母さんが作ってくれなくてね。小春は、作ってもらっていいな」
「自分で作ってる。」
「うわっ、マジで、凄っ」
颯人が、ことさらに私を褒めるから、少し照れた。
「お父さん、料理できないから」
「小春ん家、お母さんいないの?」
颯人に昨日の再婚の話しをするべきか迷ったが、話すことにした。
「私が小さいころにお父さんが家をでていって、5才までお母さんに育てられたげど、正式に離婚することになって、私はお父さんのところに行った。」
「なんで、そのままお母さんのところにいなかったの?」
「お母さんが、違う男の人と結婚したがってたから」
「それから」
颯人が、私の話しに興味をもったのか続けてほしいというように言ってきた。
「それで、昨日お父さんが再婚するっていってきた。」
「・・・。」
颯人は何も言わない。
そして、少し間が開いて
「小春がどうしたいかちゃんと言った?」
「えっ?」
キーコンカーンコーン
授業が始まる鐘がなった。
「もう授業はじまるね」
颯人は私の顔も見ないで言った。
「うん」

私が、どうしたいか・・・。
午後は、そればかり考えていた。

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