《MUMEI》
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文化祭当日、私は文芸部のブースへと向かっていた。
赤羽先輩…来てるかな…?

ブースには部長さんとセンパイ、そして赤羽先輩がいた。
「おはようございますっ
赤羽先輩、昨日はどうしたんですか?
心配したんですよ」
「…ごめんね、でも大丈夫
昨日はちょっと不調だっただけだから」
少し歯切れの悪い答えを返す先輩。
…隠し事でもあるのだろうか?
「まあまあ、文葉は大丈夫って言ってんだから大丈夫だろ」
割って入ったのはセンパイだった。
「センパイはそうかもしれないけど…
私は心配なの」
…?
センパイは赤羽先輩を『文葉』と呼び捨てにしていたっけ?

文化祭が始まり、私と先輩だけがブースに残った。
まあ、店番と言ってもお客さんは全然来ないのだけれど。
「…翼ちゃん」
「どうかしましたか?」
呼び掛けられて私は赤羽先輩の方に振り向いた。
「…その…一昨々日のアレだけれど…
あれって、先輩後輩としての『大好き』だよね?」
「……………」
「翼ちゃん…?」
「……私は…赤羽先輩が…大好き…です
……一人の…女の子として……恋愛的に…」
ヤバい、何言ってるんだろう。
絶対に変な娘だと思われるよ…。
「…私もね、考えてたの
休んでる間にさ
あれは後輩からの友情宣言だったのか
それとも女の子からの告白だったのか、ってね」
「……?」
「…私にはね、好きな人がいるの」

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