《MUMEI》
大都市、東京
その足で、東京に行ったんだ

専門医が、居ると知り、訪ねたんだ

アカネの母を、なんとか治せないものかと思ってね

アポイントは、取ってあったから
直ぐ、会うことは手来たんだけど

その医師は、俺の事を知ってたんだ
たんなる、地方の金持ちの、俺を

県ぐるみで、再開発を行ってますよね?
新聞や雑誌で拝見したことがあります

物腰の柔らかい医師だった

この分野では、日本一とまで言われてる医師なのに

取材は受けたこと無いんですが

お顔を拝見するのは初めてです
名前は、有名ですよ

そうですか

緑地を上手く残し、水害を無くすよう工夫をされ
太陽光発電の街、風力発電の工場
さらには、エコモノレールまで、手掛けておられるとか

発案だけです、やってるのは専門職の方々ですので

ご謙遜されることはありません
伺った症状だけでは、わかりかねますが………薬物は出てないのですか?

薬物?!

はい、

いえ、検査もしてないです

連れてくることは、可能ですか?

はい

当院に、入院させてみては?

はい、よろしくお願いします

引き受けて貰えた

まち子に連絡し、さっそく手筈を調えさせたんだ

俺は、ホテルに泊まることにした
そして、また、ハルナが暮らす街を、訪れたんだ

ハルナが住んでた家の表札が、無くなってた

都内の庭付きの家だ
それなりの金持ちの、旦那だよな…

近所の人に聞いてみると
旦那さんの出張で、海外へ行ったと、知ったんだ

…………そっかぁ、幸せ、してんだなぁ
ハルナ…

もう、見掛けることも、ないかもしれないな

なんとなく、マナブとイズミが、暮らす街へ、足が向いてた

会って、どうする………
無意味だよな…

やべぇ!

赤信号だった!
急ブレーキで、止まったんだけど
危うく歩行者を跳ねるとこだったんだ
間一髪………

オイ、テメェどこ見て走ってんだぁ!!

窓を叩かれた
おこるのもムリない、幼い子供を連れた、家族ずれだ

すみません……

車から降りて、謝ったんだけど……

……ノブ、ノブだろ?…

マナブ!…

ノブ!

アキナ!…

ごめんなさい、ごめんなさい!
すまない、ノブ、すまない!

後ろの車が、クラクションを鳴らしてた

お母さん、どしたの?

子供がアキナのスカートを、引っ張ってた

なぜ、二人とも謝るんだ?…
どうして………

……………

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