《MUMEI》
最低な僕。
陽射しが僕を目覚めさせる。

それだけで、
ロマンティシズムをくすぐる。

それくらい僕の日常は現実味がある。

その日、僕を起こしたのは、
陽射しじゃなかった。

ベースアンプから徐々に大きくなる低音。

枕元から響いて僕を叩き起こした。

寝返りを打って
エフェクターを踏むと
僕の部屋ではよくある現象。

何も面白味がない毎日だ。

とりあえず、
寝起きにはタバコを二本吸う。

LUCKY STRIKEが体に染み渡る。





携帯には今日も
スパムメールが18件。

友人からの一報が無いか、
念入りに、または蔑ろに探す。

十中八九ありはしない。





彼女と別れてから、
もう一年が経ったが、
まだ昨日のことの様に

幸せを思い出す。


僕はまだまだ17歳。

奇跡の出会いがある。

そう思っているうちに18歳。

来年は19歳。

再来年はオッサンだ。


モテ期というものがあったなら、
あの時、使い果たしたのだろう。

とてもいい彼女だった。

僕が暴言を吐くとすぐに泣き、
それを謝ると信用せず、
僕の批難をよくした。

一緒にいると、凄く腹がたった。
今になると、全て愛おしい。


そんな彼女を尻目に作った。
愛の無い交尾をするための
ダッチワイフ。

最終的に4人に膨れ上がった。


一夜限りなら数えきれない。


僕がメンバーを探して
造り上げた、
ヴィジュアル系バンド
『ラ・リ・ル・レ・ロ』

月一回のイベント後に、
アンケートとフライヤーを配り、快楽を得られるならば、
安いものだと考えた。


出演料 \10000
証明雑費 \2000
ダッチワイフ 無料
本当の幸せ Priceless





何もかも失った。

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