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《MUMEI》 スポーツジムの帰りだった 信号待ちをしてるとき、突然助手席のドアを開け 乗り込んで来た男！ 騒ぐなよ 男の手には、見慣れない、鉄で出来た工作物が握られてた たぶん、拳銃だ 本物か？ 青だぜ、走れよ 男は、冷静だった 通り魔や、金ほしさの犯罪者じゃなさそうだよな…… 次の信号を右だ 男の指示に、したがってた 後続車に割り込んで、 俺の真後ろに、車が付いた 仲間か？…… 次の信号を左に曲がれ 連れさられたら、勝機は薄い 偽物であってよね！ 左折と同時に、フル加速させたんだ タイヤが、アスファルトを激しく摩擦させた、 止めろ！ オモチャじゃねーぞ！ こめかみに、硬いものを押し付けられた瞬間 フルブレーキ！ 男の身体が前に仰け反った 拳銃を持つ腕を握ったとき、 追い掛けて来た車が、俺の車に突っ込んだんだ！ もみ合いになってた くっ、シートベルトが邪魔で 仲間が来る！ そう判断し、また、アクセルを床に踏みつけたんだ エンジンが吠え、タイヤが、暴れた 男の髪を掴み、センターコンソールに当てたまま、目の前のトレーラーに体当たりをしたんだ 目が、トレーラーを見てたから 腕を押さえる手が、おろそかになってたんだな 激音が、耳をつんざいた瞬間 トレーラーに突っ込んだんだ！ 目の前が、真っ白になった シートベルトが、身体に食い込んだ エアバックが開いてる 逃げなくちゃ！ シートベルトが外れない 横に居た男は、倒れてた 動いてはいない 外れろ、外れろよ！ 必死にシートベルトを外し、外に出た トレーラーの運転手が、降りてきて怒鳴ってる 構ってられない！ 新手か？！ 俺の真横に、ワンボックスが停まったんだ ちっ！ 大人しくしろよ、神谷！ 乗れ、早くしろ！ アサミ…………囚われてたのか？！ …………… 制服姿のアサミが、口を縛られ、髪を捕まれてたんだ 前へ |次へ |
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