《MUMEI》 一寸先は暗いのは実は好きだ。 この深い空間に心が放たれる。 また、こめかみが痛んだ。壕の中が生徒で密集していて酸素が薄いせいなのか。 「木下君、大丈夫?」 ふらついてロープに捕まる。女子列まで出ていた。 「ああ、うん。ゴメン、大丈夫たから。有り難う富岡」 ダッセぇ俺……。 「先生、木下君が……」 富岡が先生を呼び止めた。半ば無理矢理に強制送還される。 本当に大丈夫なのに。 入口も目と鼻の距離だし先生と中間地点で別れた。 明るいとこまで上がる。 地上に目が眩んだ。 最近、体が弱い。前はもっと丈夫だった。 体重も減って悩み事にストレスやらで寝不足が増えた。筋力も前ほど使う機会も無くて衰えてる気がする。 前はもっと規則正しい生活リズムだったんだ。 外で走り回ってご飯たくさん食べてよく寝た。 そんなことの繰り返しだった。 前へ |次へ |
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