《MUMEI》 首の締め付けに呼吸さえも奪われ意識が遠のく どうにか現状を打破しなければと辺りを見回し アルベルトはとあるモノを見つけ、徐にソレを口へと含んだ ソレを噛んで潰し、そして強い拘束の中何とか女王へと手を伸ばし 引きよせ、口付けていた 当然にソレを引き離そうとする女王を押さえつけ、口内にあるモノを移してやる 強引に飲み込ませてやると、アルベルトは唇を離す それと、ほぼ同時だった まるで糸の切れた人形の様に身体がその場に崩れ落ちたのは アルベルトを拘束していた蔓も地中へと帰って行き 拘束がなくなった事に胸をなでおろしていた 「アルベルト、大丈夫!?」 座り込んでしまったアルベルトへ、リヴ・フェアリーが慌てて近く寄る 疲労に引き攣った様な笑みを浮かべて見せながら大丈夫を返し 立ち上がる事を売ると 女王の身体をまた抱き上げた また長椅子へと寝かしてやり、アルベルトもその傍らへと腰を降ろす 「でもアルベルト。一体この人になに飲ませたの?」 小首をかしげてくるリヴ・フェアリーへ アルベルトは僅かに肩を揺らすと、ゆるり指を差す その先にあったのは、とある花だった 「……スリーピング・リベラ?」 「御名答。ソイツには誘眠作用があってな」 ソレを飲ませてやったのだと、アルベルトは自身の上着を脱ぎ女王へと掛けてやる 何事もなかったかの様に穏やかな寝顔で眠る女王 「よく眠ってるね。この人、どうするの?」 リヴ・フェアリーのソレにアルベルトはし暫く考え もう少しこの場所に居る旨を伝えてやる 「解った。ジゼル様に、そう伝えとくね」 気をつけて、とリヴ・フェアリーはその場を後に その背を見送ると、アルベルトは女王の身体を自身の膝上へと抱え直し 木の根元まで移動すると、そのまま幹に身を凭れさせたのだった…… 前へ |次へ |
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