《MUMEI》
「彼女…出来たの?」
何だかめっちゃ好奇心いっぱいに問われ、もう笑うしかなくて
「はは、残念!男ん家に泊まったんだよ」
「なーんだ…、19にしてやっと彼女が出来たのかなって喜んでたら…、久しぶりに朝帰りしたと思ったら相手は男かい!」
真菜は飽きれた様に言いながらコーラをグイッと飲んだ。
―――彼女か。
――多分、女の子に興味がない訳じゃないと思うんだけど…。
俺が2ピース目に突入すると真菜がまた話だした。
「あ、今日ねー、二段回終わったんだ!乗り越し無しだよ!マジ凄くない?」
「いや、つか二段回で乗り越ししねーの普通だし」
真菜は早々と私立大学の推薦合格が決まっている。
だから今、自動車運転免許を取得するべく教習所に通っている。
「あ〜あ!だからお兄ちゃんは彼女出来ねーンだよ、
…女の子で乗り越ししねーのってマジ珍しーし、…あ〜あ、言わなきゃ良かった」
と言いながらでも真菜は嬉しそうにしている。
俺にとって真菜は、
多少の棘を込めた、すったくれた話のできる唯一の相手だ。
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