《MUMEI》
怯えた洋平
.



―ピンポーン!―



電話を切ってから十分も経たない内に、洋平の家のチャイムがなった。


「いらっしゃ〜い。どうぞ上がって?」


洋平の母親は、いつもの如く客人を明るく向かえ入れるが、当の本人達はそれどころじゃない。


「お邪魔しますっ!!」


愛想も程々に、司達は急いで階段を駆け上がっていった。




何に対してこんなにも焦っているのだろうか…?




そう思ってしまうくらい、今の司の頭はパンク寸前だった。



洋平が見たモノ…

洋平しか知らない事…

写真意外にも何か不可思議な事があるのか?



あれこれ考えたところで、結論など出はしない。


「洋平!!」


興奮状態で、息が上がるのを堪えながら、司は部屋の扉を勢いよく開けた。



「…どう‥した?」


しかし目に入って来たものは、十分前とは打って変わって、表情を引き攣らせた洋平の姿。

いや、電話越しだったから姿までは分からなかったが、少なくてもこんなに怯えてはいなかったはず。


「何が‥あった…?」



言い終えるか終えない内に、テーブルの上に裏返しで伏せて置かれていた例の写真が目についた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫